10.食べるとは唾液をだすこと

子供の頃、お腹をこわすと梅干しを舐めるように言われました。

口の中に残った梅干しの種をコロコロと転がしていると、自然と唾液が出てきます。

 

お腹が空くようになると油物を避けて、少しずつ食事を食べました。

ご飯、お味噌汁、おひたし、お漬物。

 

我が家では決して、おかゆが出されることはありませんでした。

ごはんを食べる子供

 

人の唾液は1日に0.5~1.5リットル出ていると言われています。

 

解剖学の教科書を開いてみると、この唾液の役割は

①デンプンを消化、分解する②食べ物を飲み込みやすくする。また口の中の粘膜を保護すること③食べ物の成分溶かし、味を感じる④口の中を湿った状態にする⑤口の中や歯を清潔に保つ⑥抗菌作用

などの役割記載があります。

 

人は唾液がなければ、食事をすることも、味わうこともできないのです。

 

想像してみてください。

ゆで卵の殻をむきそのまま、何もつけずに食べるとどのくらいの時間がかかりますか?

喉につっかえる、お水がないと食べれない方もいらっしゃるかと思います。

 

ここに「お塩」を振って口にすると、唾液が出てとても食べやすくなります。

 

では唾液をあまり必要としない食べ物は何でしょう?

それは濃い味付けの食べ物です。

早食いの人は濃い味付けのものを好みます。よく噛まないでも一気に食べることができるので、量も増え過食になりがちです。当然、胃腸には負担がかかり胃痛を引き起こしたり、唾液を出していないことで口内炎などを頻繁に起こします。

これが「早食いは体に悪いよ」と言われる理由原因です。

本来は「よく噛んで唾液を出しながら食べなさい」が正解ということになるのです。

 

「味を探す」という表現があります。これは、塩味を探すということではないかなと解釈しています。

塩味を探し、そこで出た唾液でその他の風味、味わいを格段に感じるのです。

薄味のお料理はよく噛んで唾液が出ることにより繊細な風味、豊かな味わいのダイナミクスを感じることができるのです。

 

以前この「塩を探す」について印象深い経験をしたことがあります。

東南アジアを旅行した際に、スパイスを数種類購入しレシピも教えていただきカレーを作りました。カレーは先にスパイスを合わせて炒めます。その中に具を入れ、さらに炒め、水やココナッツを入れ最後にお塩で味をつけます。タイカレーはここで魚醤を入れたりします。

物は試しに、炒めたスパイスと野菜に火が入ったところで味見をしてみました。

これが強烈に苦く辛く渋かったのです。なんとも言い難い味でした。

先行きに不安を感じながらもレシピ通り、塩を入れ、魚醤を入れると先ほどの味とは打って変わり不思議なくらいスパイスが美味しく、風味豊かなカレーができました。本当にびっくりしました。

 

塩を探す、それが「唾液を出す」ことにつながり、繊細に味を感じることができる。

とても発見の多い体験でした。

 

さて、和食には唾液を出して食べるようにする調理の工夫が隠れています

「食事にお盆を使う生活が教えてくれること」の項でも触れましたが、和食はお膳に数品のお料理を載せます。

この中には硬いもの、柔らかいもの、酸っぱいもの、繊細なもの、刺激のあるものなど様々なレパートリーを楽しむことができます。食感や味の濃さの違う様々な料理を食べること、そこに和食の食事作法も加わり、よりゆっくりと噛んで味をさがし「唾液を出す」ことになります。

 

最近は偏って「トロけるように柔らかいもの」や「口の中で無くなった〜」のような表現が好まれるようですが、唾液を出して繊細なものを味わうという観点からはずれてきているように思います。

 

食べるとは「唾液を出す」ということ

 

これは創健生活の教えです。

祖父母の診療所では、消化器の調子が悪い人に、塩固ゆでの大豆お茶碗1杯分を1日かけてゆっくりと食べてもらっていたそうです。

1日かけて唾液を十分に出させるという治療法。

なんて原始的な治療なんだと思いますが、以外に効果は抜群だったようですよ。

 

今一度、食べるとは「唾液を出す」ということ。

意識してみてはいかがでしょうか。